Q. 誰のどのような意思決定から、プロダクトは生まれるのか?(前編)

プロダクトとはなにか?

  • 「本日、弊社の新規プロダクトをリリース」「こんにちは。xx社でChief Product Officerをしておりますyyと申します」「イケてるプロダクトを創れるチームが欲しい」…よく耳にするこのプロダクトを、改めて立ち止まって考えてみよう。
  • プロダクト(日本語では、製品)とは、”product is something that is grown or made in a factory in large quantities, usually in order to be sold(LONGMAN辞書)” “ビジョンを実現するために採用する戦略から生み出される成果物のこと(Eric Ries「THE LEAN STARTUP」(2012))” のように定義される。
  • プロダクトの定義に、私なりの解釈を加えるならば、「プロダクトとは、ひとの意思から生まれたひとの表現手段の1つであり、他者が価値を認識し共有できるもの」と考える。

なぜ、プロダクトのための意思決定がなされないのか?

  • プロダクトができない、と日々悩む個人やチームにお会いすることが多々ある。個別各論あれど、よくよく聞くと、プロダクトの源泉となる「意思」が不在であることが多い。ユーザーのペルソナ設定、他社と比較した機能の優位性、ベンチマーク分析に至るまで、情報は集められる。しかし、「では、こうしよう」という「意思」が不在であるが故、みな集められた情報を呆然と眺めて、立ち竦んでいるだけなのだ。
  • 「意思」が不在であるが故、立ち竦んでしまう残念なケースをいくつか挙げてみよう。あなたのチームでも同じようなことが起きていないだろうか?
    • 決めるための情報が足りないという言い訳が常習化している
    • チーム内の合意形成という御旗が振りかざされ、擦り合わせが延々と繰り返されている
    • 意思決定権を持たないひとが、いつのまにか介入してしまっている
  • 上記のケースは、いわゆる「石橋を叩きすぎて石橋を壊してしまう」「石橋を叩いてはいけないひとが叩いて石橋がで完成しない」状態であり、数多のプロダクト予備軍は日の目を見る機会を失っていく。個人としては、日々の意思決定を、限られた情報と時間の中で行えている(制限問題をちゃんと解けている)のだが、チームで意思決定をしようとした場合、「意思」を認識できなくなってしまうのだ。
  • Impactfulな論文だけを数年に1回書けばよいと考える研究者もいるように、すべての意思をプロダクトへと昇華する必要はもちろんない。しかし、プロダクトに向けて歩もうとしつつもプロダクトができないと悩んでいる場合、上記のような石橋状態ではないか、ぜひ自問してみてはいかがだろうか。おそらく、「意思」が不在であること、そして誰かが「意思」を持たねばならないことに気づかれるだろう。